石川裕人百本勝負 劇作風雲録

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第十七回 年間5本2年連続 その2。

 2002年、74本目「祖母からみれば 僕たちは 荒れ果てたさかしまの夜に うち捨てられた野良犬の骨のようだ」NewVersionは前年に書いた戯曲の新訂版。劇場も大きくなり、登場人物も増やした。

     

                左 岩佐絵理 右 宿利左紀子

 75本目「ほんとうの探し物」〜目覚めなさい、サトリ〜は児童劇団ザ・ビートへの脚色。(幸野敦子原作)AZ9ジュニア・アクターズでの経験は蓄積されているが集団が違うと書くものもちょっと違ってくる。なかなかに一筋縄ではいかないのが戯曲執筆であり、芝居の面白さでもある。

          

 76本目「翔人綺想2002」は思い出深い作品である。”OCT/PASS"スタジオのクロージング公演台本は’85年に上演した再演改訂版。前年にスタジオ開設10周年記念企画として観客アンケートで3本の再演企画を立てていた候補作のうちの1本が「翔人綺想」だった。しかし、スタジオの入るビルの新築が決まり、再演ベスト3企画自体は潰えてしまった。当初新築ビルに再入居する予定を立てていたが、提示された家賃が現行の倍になったことから入居をあきらめた経緯がある。新築ビルが出来るまでという約束で緊急避難的にお借りした瀧澤寺さんが今でも私たちの稽古場になっている。この公演はマスコミも取り上げてくれ、ニュースにもなった。ちなみに180通にのぼった再演リクエストのベスト3は「ラストショー」「あでいいんざらいふ」「三島由紀夫/近代能楽集・集」だった。

    

左から 絵永けい、小関歩、美峰子。寝る間も惜しんで1日中パート勤めの母(絵永)は布団を背負って暇があれば眠れる体勢になっている。

 9月11日アメリカ同時多発テロ。この時の衝撃が77本目「この世の花 天涯の珊瑚」を書かせた。12月に上演しているから、本当に即書き下ろしたことになる。書かずにはいられなかった。1970年の三島由紀夫割腹事件からフィクションは現実に追い抜かれ始めたとうのが私の見方だが、ここにきて完璧に私たちの想像力はツインタワーのように爆砕されてしまったように思えた。私たちは、劇作家は、演劇人は想像力を行使していかに現実に立ち向かっていくのだろう?というのが大きなテーマになった。その端緒としての戯曲である。


  


           

    

                            井伏銀太郎氏撮影


 78本目「本の中の静かな海」SHI★MIはAZ9ジュニア・アクターズへの書き下ろし。


          


 この2002年は個人的に芝居漬けの日々だった。5月本格的にラジオドラマのシナリオ「笑い祭り」を書き下ろしNHKFMでOAされる。7月仙台劇のまち戯曲賞のコーディネートと選考。7月〜9月演劇ビギナーズWS講師(この受講生として長谷野勇希が参加していてそのまま”OCT/PASS"に入団した)9月劇作家協会東北支部企画/戯曲添削集中講座では別役実氏を特別講師に招き開催。10月の1ヶ月は米澤牛氏(現渡部ギュウ)の「アテルイの首」ツアーに演出として参画、全国7ケ所の酔いどれ旅を敢行。

 このようなハードな日々の中で改訂版はありつつ、よくぞ5本の戯曲を書いたものだと今更ながら感心するとともに、背筋が凍る思いもする。どうやって書いたのかうろ覚えだが、ノート型のPCを購入したのがこの年だったように記憶している。いつどこでも書けるような体勢にしたのがこの年だった。


        


         情報誌「りらく」のインタビュー記事。


*”OCT/PASS"のチラシはHPの作品紹介をご覧ください。

 写真撮影は「この世の花 天涯の珊瑚」以外松橋隆樹氏。

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